争うことのないミツバチ 1

ミツバチの社会は、争いのない社会です。彼らの飼育箱は春から夏にかけて、個体数が5000匹を超えることも珍しくありませんが、その飼育箱の群が隣接する他の飼育箱の群と縄張り争いをしたり、女王が先頭に立って他群に攻撃を仕掛けたりするなどということはありません。

彼らの社会を構成している要の女王蜂は、そもそも適者生存で他の働きバチを勝ち抜いてその座に君臨する「王」ではありませんし、女王蜂が働きバチ(雌バチのみ)や働くことのない雄バチを統治しているわけでもありません。それぞれが、それぞれの役割を忠実に果たすという「無私」の精神で彼らの社会滞りなく1年間のルーティーンを繰り返し、私たちは彼らからはちみつというプロダクツの恩恵に数千年間も預かって来ました。

女王蜂と働きバチ

女王蜂の役割は、2-3年にわたるその生涯で、産卵のみに従事するので、巣の外に出るのは、交尾するための一度だけです。働きバチは自分たちの社会を維持するための卵から生まれる新生児の管理、面倒を見る係、彼らの食糧となるはちみつと花粉の加工貯蔵係、そして外に出て花蜜と花粉を収集し巣に運ぶ係に分かれて構成されています。

 

雄バチは、女王蜂との交尾のみが生涯の仕事で、自らは生産的な仕事をすることはありません。働きバチ(雌のみ)に比べて、一回りおおきな雄バチですが、働きバチを外敵から守ったり、働きバチの労働をサポートしかつ、巣に入り口を見張ったりするということは残念ながらありません。