ミツバチの生活 1-女王蜂

ミツバチの社会は女王蜂一匹、雌の働きバチがおおよそ8-9割、そして残りは雄バチによって構成されます。社会とは巣のことですが、幸いなことにミツバチは、人間が考案した巣箱に完璧なユニットしての社会を構成します。

中央の大きなハチが女王蜂

 

女王蜂(英語名:queen bee)とは、あくまでも人が便宜上命名しただけで、ミツバチ社会においては、女王の座は世襲下剋上、クーデターなどで生まれるわけではありません。そもそも、1匹の女王蜂が、他のハチを支配しているわけでも、管理しているわけでもありません。

 

女王蜂は、その社会を構成する群のミツバチの数が激増する春から夏にかけて誕生します。ミツバチ人口(個体数)が増えても、彼らの社会は無限大に拡大するわけではありません。効率よく群を維持するために、それまで群を維持していた女王蜂は、群の1/3程度のミツバチと共に、新たな社会を創るために、古巣から外界へと飛び出して行きます。

 

新たな女王蜂が生まれるための基本は、王台と呼ばれる新女王誕生のための大型の巣枠にあります。これを作るのは、もちろん働きバチですが、彼らには、個体数が増えることと、健全なる群の維持というバランスをうまく保つ知識としての新女王育成のプログラムが組み込まれているのでしょう。

六角形の通常の巣枠より大きな3つの筒型が王台

王台に生まれた卵が孵化すると、その幼虫にはローヤルゼリーというアミノ酸とビタミンとでほぼ構成された特別食が与えられます。この特別食で群のなかで唯一、働きバチよりも10倍くらいの平均寿命と産卵能力を持つことになる女王蜂が誕生します。